皆さん、こんにちは。大阪府摂津市を拠点に、地域密着でダクトの製作・工事を手掛けている有限会社伸晃興業です。
「居抜き物件のダクトをそのまま使いたいけれど、大丈夫なのか」と迷う方は少なくありません。結論からお伝えすると、見た目がきれいでも法的な基準を満たしているとは限らず、改装の規模によっても判断は変わってきます。
この記事で得られる3つの重要ポイントは以下の通りです。
まずは全体像から押さえていきましょう。
- 厨房排気ダクトには、材質やフィルターの位置など細かな法的基準がある
- 前のテナントの設備が、今の基準や新しい業態に合わないことがある
- 増築や大規模な改装をすると、既存の設備にも今の基準が適用されることがある
■ 居抜き店舗のダクトを見て、まず何を確認すればいい?

外観がきれいなだけでは、そのダクトが基準を満たしているかは判断できません。設置年や図面の有無が分かると、その後の判断がしやすくなります。
・外観だけでは分からない劣化・素材の見分け方
ダクトは表面が新しく見えても、内部に油汚れやさびが進んでいることがあります。素材の種類や厚みも見た目だけでは判断しづらいため、専門的な視点での確認が欠かせません。
・図面や設置年が分かるとより判断しやすい理由
図面が残っていない物件は業界でも珍しくありませんが、設置時期や工事内容が分かる資料があると、その後の判断がぐっとしやすくなります。
資料が見当たらない場合でも、現地での調査によって材質や配管のルートを確認することは可能です。
■ 厨房排気ダクトには、どんな法的な構造基準があるのか?

厨房排気ダクトには、使用できる材質やグリスフィルターの設置方法など、火災予防上の細かな構造基準が定められています。
・使用できる材質・厚みの基準
東京消防庁の火災予防審査基準では、厨房の排気ダクトについて、ステンレス鋼板や溶融亜鉛めっき鋼板といった燃えにくい素材(特定不燃材料)を使うことが定められています。
これは、油を含んだ排気が通るダクト内部で万が一火がついても、燃え広がりにくくするための基準です。
・グリスフィルターや火源との距離の基準
油煙を取り除くグリスフィルター(油分を取り除くためのフィルター)についても、調理機器から一定の距離を離して設置することや、容易に清掃できる構造にすることが求められています。
総務省消防庁からも、グリスフィルターなどの油除去装置と火元との「火災予防上安全な距離」について運用の通知が出されており、細かい数値が定められています。
参照URL:
厨房設備とグリス除去装置との火災予防上安全な距離について|総務省消防庁
■ 前のテナントの設備をそのまま使うと、どんなリスクがあるのか?

前のテナントの設備が、当時の基準や用途では問題なくても、今の基準や新しい業態には合わないことがあります。
・火災予防上の距離基準を満たしていないケース
例えば、軽食を扱うカフェだった店舗を、火力の強い焼肉店に変える場合、以前は問題なかった距離や排気量では基準を満たせなくなることがあります。
業態が変わると、必要な安全距離や排気量も変わるため、そのまま使えないケースが業界では一般的に見られます。
・見た目がきれいでも内部が油や錆で劣化しているケース
表面の清掃が行き届いていても、ダクトの内部までは目視で確認しにくいものです。油汚れが蓄積したまま使い続けると、火災のリスクが高まるだけでなく、排気の効率も落ちてしまいます。
現地調査をしても、すべてのリスクを完全に排除できるわけではありませんが、専門業者による点検を受けておくことで、思わぬトラブルを避けやすくなります。
参照URL:
厨房設備とグリス除去装置との火災予防上安全な距離について|総務省消防庁
■ 改装の規模によって、なぜ判断基準が変わるのか?

軽微な模様替えなら今の基準の適用を免れる場合がありますが、増築や大規模な修繕・模様替えをすると、既存の設備にも今の基準が適用されることがあります。
・既存不適格建築物という考え方とは
建物や設備は、建てた当時の基準に沿っていれば、その後に法律が変わっても、すぐに違反になるわけではありません。このような状態は「既存不適格(きぞんふてきかく)」と呼ばれています。
建てた当時は問題なかったけれど、今の基準には合っていない状態、と考えるとイメージしやすいと思います。
・増築・大規模修繕をすると現行基準が適用される理由
ただし、増築や大規模な修繕・模様替えの工事に着手すると、その部分だけでなく、既存の設備にも今の基準が適用されることがあります。
国土交通省の資料でも、こうした工事をきっかけに現行の規定が適用される仕組みが説明されています。どこまで工事の規模が影響するかはケースバイケースの部分も大きいため、詳しくは専門家に確認することをおすすめします。
参照URL:
■ そのまま使える/使えないを見分けるチェックポイントは?

材質・距離基準・改装規模という3つの視点を押さえておくと、現地調査での判断がスムーズになります。
・現地調査で確認すべき項目
ここまでの内容を踏まえると、確認しておきたいポイントは大きく分けて3つあります。ダクトの材質や劣化の状態、グリスフィルターなどの距離基準を満たしているか、そして今回の改装が増築や大規模な修繕にあたるかどうかです。
・専門業者に相談すべきタイミング
これらは図面や見た目だけで判断しきれない部分も多いため、契約や内装工事の計画を進める前の、できるだけ早い段階で専門業者に相談しておくと安心です。
チェックリストはあくまで目安であり、最終的な判断は現地での確認をもとに行うことをおすすめします。
■ よくある質問
・居抜き物件のダクトは、必ず交換しないといけませんか?
必ずしも交換が必要というわけではありません。材質や設置の状態、改装の規模によって判断が分かれるため、まずは現地での確認をおすすめします。
・業態が変わる場合(例:カフェから焼肉店へ)、ダクトも変える必要がありますか?
業態によって必要な排気量や安全距離が変わるため、変更が必要になるケースは少なくありません。事前に業者へ相談しておくと安心です。
・ダクトの図面が残っていない場合はどうすればいいですか?
図面がなくても、現地調査で材質や配管のルートを確認することは可能です。ただし調査に時間がかかる場合があるため、早めの相談をおすすめします。
■ まとめ
居抜き店舗のダクトは、見た目だけでは判断できません。法的な構造基準と改装の規模の両方を踏まえた確認が必要になります。
有限会社伸晃興業は、大阪府摂津市を拠点に近畿地方全域から北陸・中国・四国まで対応するダクト製作・工事の専門会社です。登録ダクト基幹技能者や建築板金技能士など有資格者が多数在籍し、飲食店・病院・ホテル・工場など店舗向けの施工に強みを持っています。
このダクト、そのまま使えるのか気になる方は、現地の状況をお聞かせください。材質や設置状況を確認したうえで、使える・使えないの判断材料をご提案します。開業準備中で相見積もりを取っている方も、判断に迷うポイントがあればお気軽にお問い合わせください。

